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職人 りき、です。
建築、建設現場でブロック積み等を仕事にしている職人です。
中学生の時、一度だけ母親と言い争いをした事がありました。
いえ、争ったのではなく一方的に僕が何も悪くない母を責め立てる物言いをしてしまいました。
ほとんどの人は高校に行く為の受験勉強に追われている姿を見て、ひとり取り残されていくような感じに少し気がめいっている時に母は卒業してからの仕事についてアレやコレやと話し始めました。僕の精神状態もどうかしていたんだと思います。思いつく言葉をまくしたてて、母にぶつけます。絶対に口に出してはいけない事だと思いながらも、涙と一緒に出る言葉にブレーキが掛かりません。
母はジッと僕の目を見て何も言わず、このどうしようもない馬鹿息子がわめく言い分を真正面で受け止めます。
次の朝、何事も無かったように振る舞う母に、気まずさと言う岩が体にのし掛かります。
朝食を済ませると卓袱台の上に置かれた少し大きめのお弁当をバックにいれて家を出ようとする僕の背中に母の声が刺さります。「いってらっしゃい。お弁当、傾けやんと持って行くんやで」
学校には一応は行くのですが、勉強等をする気はサラッ!サラッ!有りませんで(笑)ただ流れる時間を好きな本を読んでやり過ごします。そして何と言ってもやっぱりお弁当 の時間が1番の楽しみになります。この日は班での学習で机は5人分引っ付けたままお弁当をひろげます。班の皆んなは気の合う人と食べるのに出払い、いつも仲良くしてくれる女の子と2人だけで食べます。
この女の子は今朝も元気が無い僕に話かけてくれて母に初めて辛く当たってしまった話しを聞いて貰っていました。
やがてお弁当に気走りする僕の心は母とのやり取りをすっかり忘れさせていましたが、お弁当の蓋を開けた瞬間に現実へと引き戻されます。
「何やこれ〜、ま〜白で、ムッチャ綺麗や〜」等と思える余裕はこの時には無い。
おかずの無い白米だけしか入っていないお弁当箱を見て事情を知っている女の子はプッ!っと吹き出し、すぐに大笑いします(笑)
受け止める事のできない現実に僕の目ん玉は超高速でクルクルクルっと回ります。よく目が点になると言う表現をしますが、本当にショックが大きい時、目は回ります(笑)
一頻り笑った後女の子は「あーオカシ!お弁当の蓋開けただけでこんなに人笑わせるのリキだけやで!赤いウインナーと卵焼き半分あげるで、これで食べ!」と言ってニコリ。
ここで誰かに何か貰ってお米を食べてしまったら何か大事な物がダメになりそうな気になりました。女の子に、ありがとうと言ってから「母ちゃんに悪態をついたバツや!ご飯の甘味だけで食べるのもたまにはええ」そう言うとお箸をご飯の中に突き刺すように入れると何かに当たります。ご飯と一緒に持ち上げてみると少し厚めのお弁当箱の底から赤いウインナーが出てきました。食べ進めると卵焼き、唐揚げ、大好物のニンジンと鶏肉の煮物が出てきて、まだ半分も食べていないのに胸が一杯になり、落ちる涙は白いお米を濡らします。
ウインナーと卵焼きをくれようとした女の子は「その勢いならお弁当がお茶漬けになってしまうで、鼻水もちゃんと咬むんやで!」そう言うとポケットからだしたハンカチをそっと手渡してくれました。ちゃんと洗って返すと言う僕に、いらないわよ!でもいい勉強させて貰っちゃった。リキのお母さん一言も喋んないで息子にこんだけ泣かせるなんて・・ウ〜ン・・・さすが!
・・・いい、お母ちゃんね・・・
家に帰ると内職の合間に洗濯物をたたんでいる母に「母ちゃん、ごめんな」と言いかけると「ストーブの上でお肉炊いとるでな、焦げやんように夕飯までちゃんと番するんやで」
また、はぐらかされ、ストーブの前で温かさに導かれてウトリウトリとする僕の肩に、少し厚めの毛布を掛けてくれて、お鍋の中をオタマでかき混ぜるのも結局、母でした。
うたた寝て 肩にズシリと 母の愛。 りき
ありがとうございました。
ごめん下さい。
ps ハイ!四日市では咲き疲れた桜が野に帰り、今年も本当にありがとうと言ってまた、来年その綺麗たちと会えるを日を心待ちにして・・・
僕が中学生の時に実際にあったお話です。母との思い出話はいくつかあったりしますが、この物語は寝ている時に夢に出てきて観る事も有ります。
ある睡眠に関する本に、寝ている時にみる夢は、実際に起こった出来事と他の記憶とを結び付けながら脳が情報処理をして出てくるので奇妙で不思議な夢をみる事が多いのだとか。
確かに朝方最後のレム睡眠中にみる夢等には、確かこんな事あったような気がするなんて結構アバウトで不透明な内容の夢を見る事が多かったりする訳なんですが今回紹介させて頂いたエピソードが夢に出てくる時は、かなりリアルです(笑)何回も見ている筈なのに、毎回同じで食べるおかずも一緒(笑)
そしてこの夢をみるタイミングもあるようです。つい数日前にこの夢をみたのでが、何か迷いが有る時やあまり良くない頭のクセに深い思考の中に居たりする時にこの夢は予告も無しで現れるようです。
頻繁にと言う訳ではないですが時折見るこの夢ですが特に覚えているのは約20年前クモ膜下出血で倒れて身動きの出来ない病院のベッドで、勝手に工事現場に復帰できない程の後遺症に苦悶する自分が何回か夢に出てきた後にこのお弁当の夢が出てきました。無意識に大きな愛に包まれたいと言う欲求がこの夢を呼ぶのではないかと思っていたりするのですが。
・・・・・テヘ(笑)・・・・
結局ほとんど後遺症に悩まずに済む体で病院を退院できた僕は入院中、密かに想いを深くしていたクリエイティブな能力が欲しい、に挑むため再びの図書館通いが始まります。
先の睡眠の本は、続けます。
・脳が夢を生成しているのです・